アミノ酸!これも石けんに負けず劣らずイメージの良い物質といえるだろう。なにしろ、われわれの身体を形作り、生命を支えるたんぱく質の原料であり、サプリメントやスポーツドリンクの主役でもあるのだ。

 

実は、石けんの弱点を解決した救世主はアミノ酸だった。石けん(脂肪酸)とアミノ酸が縮合した「アシルアミノ酸」は、もともと天然にも存在し、ロブスターやザリガニから単離されたこともあるという。この黄金の組み合わせからなる界面活性剤を、実用化し、新しい洗浄料の世界を築き上げたのは、わが国の食品業界の巨人、味の素()だった!味の素()は、アミノ酸を駆使して原料から最終製品まで生み出す、化粧品業界のアクティブなプレイヤーでもあったのでした。

 

味の素()の化粧品研究の歴史は古くて、1970年代にはアミノ酸系界面活性剤の論文が発表されている。どうも、最初は「アミノ酸も脂肪酸も生体の構成成分。この2つがくっついた界面活性剤があれば、生体に悪影響がなくて、よいのではなかろうか?」という単純な発想だったようなのだけれど、これが大当たり!代表的なアシルアミノ酸であるN-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン、N-アシルサルコシン塩は、皮膚や毛髪に対する作用が穏和で、生分解性に優れ、皮膚表面と同じ弱酸性でも優れた起泡力・洗浄力を示すということで、今や洗顔料、シャンプー、ボディシャンプー、ハンドクリーム、ローションなどなど、あらゆる化粧品に配合されるようになった。

 

そう、アミノ酸系界面活性剤は、なんとなくイメージが良いためではなく、その類まれな機能、いわば実力で独自の地位を手に入れたのだった。

 

洗顔料のチューブに「○○グルタミン酸」とか「○○グリシン」っていう小さい字を見つけたら、そんな歩みを思い出してください。

Emulsifiers in the intestinal juice of crustacea. Isolation and nature of surface-active substances from Astacus leptodactylus Esch. and Homarus vulgaris L.

アミノ酸系界面活性剤


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